下げ札は「もの言わぬセールスマン」・デザインがアピール力に

様々な下げ札

下げ札・ペーパータグは消費者に商品イメージをアピールする重要なアイテムです。その第一の役割としてはブランド名のほか、混用率など素材の情報や洗濯等取扱方法の表示といった消費者が必要とする情報の伝達があります。しかしそれ以上に重要なはたらきとして、会社が企業努力を重ねて良質な製品を開発、販売してきたことを伝え、その製品が「自信を持って買ってもらえる・安心して買うことができる」ものであるという「イメージ」をアピールすることです。「下げ札は物言わぬセールスマンである」と表現することもあります。売り場で商品を手に取った消費者に対して、下げ札は静かにその製品の良さをアピールしているのです。そのようなはたらきをしてくれる下げ札を「付けない」というのは、まず問題外です。付ける方がずっといいです。そして、その「物言わぬセールスマン」にはできるだけ「雄弁」になってもらいたいものです。商品イメージにふさわしく、スタイリッシュなデザインもまた大切なのです。下げ札・ペーパータグのデザインを左右するさまざまなファクターを見ていきます。

下げ札に用いる紙素材の種類と特徴

デザイン

ペーパータグは小さな札ですから、形、紙質、ロゴ、文字といったすべてのファクターが重要です。まずは「紙」です。

ペーパータグに用いる紙は、ひもやLoxで製品と結びつける必要から、ふつうの紙にくらべると厚手のものが一般的です。

そしてその種類はまさに多種多様。ここでは「ナチュラル系、ボール紙系」、「ブラック・ホワイト系」、「カラーカード系」、「エンボス、ラフ系」、「厚紙、合紙、特殊系」、「メタリック系」におおまかに分類し、それぞれの特徴を簡単にまとめます。

ナチュラル系、ボール紙系

自然でやわらかい質感の紙、ケナフのような非木材素材、厚くてマット感のある厚紙系、ラフなクラフト紙系などです。カジュアルな製品に向いていますが、雑貨や高級ブランドにも合わせることもできます。吊り紐の素材も綿や麻など、ナチュラルにふさわしいものを組み合わせるといいでしょう。

ブラック・ホワイト系

白黒モノトーンのペーパータグです。ブランドのジャンルにかかわらず、広く用いられます。ホワイト系はシンプルですっきりしたデザインに向いており、ブラック系は金銀や白抜きの箔押しが映えますので、高級感の演出に向いています。

カラーカード系

白黒以外の色が紙自体に着色されているカードです。全体が単色のもの、多色刷りのものを含みます。紙の質感に加えて、色の濃さ、配色、光沢感の調整によって多彩なデザインが可能で、ポップな感じから高級感ただようものまで合わせられます。

エンボス、ラフ系

紙の表面にエンボス加工がほどこされています。手触りがざらざら、ないしはポコポコした感触です。タグを手にしたときの「触覚」でもアピールできます。

厚紙、合紙、特殊系

厚紙は小さな札ながらも重厚感を演出できます。合紙は種類の異なる紙を重ねて貼り合わせることもできますので、表面と裏面とで異なる印刷を使い分けるなど、デザインの可能性が広がります。

メタリック系

金銀銅、あるいはパールのような光沢感のあるコートをほどこした紙です。鏡面のようなつややかなタイプからつや消しマット調までさまざまな質感が出せます。ゴージャスな雰囲気やきらびやかな雰囲気、はたまた渋い雰囲気やゴシック風の重厚な雰囲気などが演出できますので、高級路線の製品に合わせやすいでしょう。

印刷手法のいろいろ・特徴

様々な下げ札

続いて印刷です。印刷の手法もいくつかあり、それぞれに特徴があって、組み合わせたり使い分けたりすることでスタイリッシュなペーパータグをデザインすることができます。ここでは「オフセット印刷」、「箔押し、型押し」、「スクリーン印刷」、「UV印刷、盛り上げ印刷」について見ていきます。

オフセット印刷系

オフセット(平版)で印刷する手法です。もっとも一般的な、よく見られる方式です。技術的に完成されていますので、地より濃い色の印刷から、白抜き、光沢感の付加まで、自由度の高い表現が可能です。

箔押し、型押し

「箔押し」は「ホットプレス」とも呼ばれ、うすい箔リボンを熱で転写して紙に定着させる手法です。「箔」といえば「金箔」など金属のうすい形が思い浮かびますが、実際に箔押しに用いられるのは金属ばかりではなく、通常の色のものも多く見受けられます。「型押し」は活版印刷のように版を押しつけて印刷する方法で、下げ札にへこみが付けられます。無機的になりがちなオフセットとはちがって、レトロスペクティヴなあたたかみを感じさせる演出ができます。

スクリーン印刷系

孔版を用いて印刷する手法です。インク量が多く、暗色系の地に明色をきれいに印刷できます。黒地に白抜きで文字やロゴを表現するのが得意です。高級感の演出に向いています。

UV印刷、盛り上げ印刷

UV、つまり紫外線で硬化するインクを使う印刷方法です。スクリーン印刷系と版レスオフセット系があり、スクリーン印刷系の方が高価ですが効果は高く、透明を印刷しても非常に印象的な仕上がりになります。オフセット系はスクリーンUVよりも安価にできますが、スクリーンUVほどのおおきな盛り上がりはありません。しかし反面、細い線で構成されたデザインを繊細な仕上がりで表現することができます。

そのほかの特殊な手法・表面加工など

バーコードの付いた下げ札

同じ紙、同じ印刷手法でも、その後にほどこす表面加工によってできばえは大きく変わってきます。基本的な表面加工には「光沢加工」、あるいは逆に「つや消し加工」があります。そのほかにも、形に合わせた型抜き、ハトメ打ち、糸付け、折り曲げ、両面テープ付けなど多彩な特殊加工があります。

中には機械処理ができない手作業に依存した特殊加工もあります。その場合は製作期間が長くなり、納期がやや遅くなります。

表面加工(光沢・つや消し)

表面に光沢を与えたり、反対につや消しにしたりする加工です。塗布系とフィルム系の2通りの手法があります。これらの表面加工は下げ札の見た目の印象を変えるだけでなく、印刷したインクの剥落を防ぐ保護の効果も期待できますし、フィルム系の手法では下げ札自体の強度を高めることもできます。また折り曲げ加工をおこなう際、折り目の印刷が落ちやすくなるのを、フィルム加工で補強することも可能です。

さらに、つやの有無や程度を部分的に変えて加工することもできます。つや消しのグラデーションが表現できます。

型抜き加工、筋押し加工

自然物や人工物をかたどった形状の下げ札を作るために、型抜きの抜き刃を使います。宝石用やピアス用など非常に小さな下げ札も型抜きで製作することがあります。折り曲げ加工や筋押し加工も可能です。オリジナルの抜き刃を製作する場合はやや製作期間が長くなります。

糸付け加工、樹脂パーツ付け加工

吊り紐なしでの納品も可能ですが、糸を付けての納品もできます。商品のコンセプトに似合った糸を選べます。ナチュラル素材の服には綿や麻の吊り紐……といった形などです。

また、ロゴ入りの樹脂パーツを製作し、取り付ける加工もできます。

ハトメ打ち、内職加工

吊り紐を通す穴を補強するハトメ打ち加工もあります。また、折り曲げ加工、両面テープ貼り加工など特殊な加工も選択肢になります。両面テープ貼りは、スペア生地やスペアボタンを付属させる用途などに応用できます。